今、感染拡大をくい止めたい理由

今、北海道にいる多くの人が疑問に思っていることは、
なぜ、北海道知事が緊急事態宣言(現在は終了しました)を出し、北海道大学が学生に向けて、強めの告知を出しているのか、ということだと思います。

私たちは、その決定プロセスに関わっていないので本意は分かりません。

ですが、私たち医学を学ぶ学生からは、皆様に次のことを知っておいていただきたいです。

医療機関は体制を整えている最中

SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)は、新しいウイルスです。この3ヶ月ちょっとで感染症の専門家たちが、総力を挙げてCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)の特徴について知見を積み上げているところです。

しかしながら、世界中で未だにCOVID-19について明確な見解は得られていない状態です。

医療の世界でも、大急ぎで
・COVID-19の検査体制
・患者の安定的な受け入れ体制
・軽症と重症患者の見極め方法
・効果的な治療方法
などの確立に取り組んでいる最中です。

もし、感染が急速に拡大すると、患者数が急増し、医療機関のキャパシティを超え、正常な役割を果たせなくなります。そうなってしまうと、本来ならばCOVID-19で亡くならずにすんだ人が、亡くなってしまうかもしれません。

また、他の疾患で苦しんでいる人たちが、普段の治療を受けられず重症化したり、亡くなったりしてしまう可能性もあります。私たち同年代の人でもCOVID-19に罹り重症化してしまう場合もあります。

逆に、今、感染拡大をくい止めることが出来れば、医療機関がパンクせずに、十分な時間が得られ、科学的な事実が蓄積され、医療体制が整っていきます。もし、この後に、感染が広がる事態がまた起きたとしても、今よりCOVID-19の被害が抑えられるようになります。

以下に、2020年3月7日時点での厚生労働省のサイトにある画像を貼っておきます。

 

クラスター感染に着目する理由

メディアを中心に感染者の集団という意味での「クラスター」という用語が使われています。

今回のCOVID-19では、クラスターは、「風通しの悪い空間で人と人が至近距離で会話するような場所」で発生すると言われています。

2009年の新型インフルエンザの時は、このクラスターという用語は出てきていませんでした。

以下の図は、インフルエンザの感染が広がるときのイメージ図です。

例えば、感染した人が次の2人に感染させ、そこで感染した人は、それぞれが更に1〜2人に感染させます。インフルエンザでは、特別な条件下で、ある人によって感染が大規模に起きるというよりも、日常生活の中で感染が起きることが一般的です。

一方、COVID-19では、以下の図のように感染が広がる可能性が浮上しています。

COVID-19では、一部の人が大規模な感染を引き起こし、そこで感染した一部の人が次なる大規模な感染を引き起こしていきます。これまでの感染例を詳しく見ていった結果、それが起きる場所の特徴が換気の悪い閉鎖空間であることが分かってきました。逆に、「①換気の悪い閉鎖空間、②人が密集している、③近距離での会話や発声が行われる」以外では、それほど感染力が高くない可能性が浮上してきています。

したがって、換気の悪い閉鎖空間に集まることを出来るだけ避けて、クラスターの発生を抑えていければ、効果的に感染の拡大を抑えられるかもしれないのです。

感染の拡大をくい止め、科学的な事実が蓄積され、医療体制が整っていくまで適切な行動をしていきましょう!

 

 

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